2012年1月21日土曜日

Habari gani?: RCGP OHSU UH 訪問記録

2011年11月1日(月曜日)

 今回の訪問では、初めてグループ開業の民間クリニック群を見学させていただいた。Northwest Primary Care (NWPC) というグループである。名前は Northwest だが、ポートランド市の南東側のミルウォーキーなどに4カ所のクリニックを開設している。(Northwestはアメリカ全体の中での位置だ。)

 グループと言っても日本のグループ開業とは規模が違う。所属する医師やNurse Practitionerは、合計23名。専門科別などFamily Practice 17名、Internal Medicine 4名、Acupuncture 1名、Obstetrics(産科) 3名、Medical and Nutrition Therapy 1名、Sports Medicine 1名となっている。(重複している人もいるので合計が合わない。)

 我々を招いて下さったのは、Subra Seetharaman 先生である。インドで医師となった後、渡米しOHSU 家庭医療学教室で研修を終え、2008年からNWPCに参加。現在はMilwaukee Family Practice で診療を行っている。研修医時代に来日もしており、日本からの研修医や医学生もお世話になってきた先生である。

 4カ所のクリニックを順番に案内していただいた。診察室の構造は OHSUの各クリニックとほぼ同様である。しかしいくつか違う点にも気付いた。

 Milwaukie Family Practice には、他の3カ所に比べ、非常に充実した院内検査室が設置されている。3カ所のクリニックにはレントゲン設備があり、一般撮影の他、骨密度や神経伝達速度の測定も行われている。

 Clackamas Internal Medicine では循環器内科専門医がいて、心エコー、トレッドミル負荷心電図、ホルター心電図に加え、核医学検査の設備もありNuclear Stress Test (負荷心筋シンチグラム)まで実施できる。

 そのトレッドミル装置も写真のように正面に大型スクリーンが設置されており、被検者があたかも町中をジョギングしているかのように映像を楽しみながら? 運動負荷検査を受ける事ができる。

 診療録は電子カルテになっている。各クリニックの情報は共有化されている。各医師はドッキング式のラップトップPCを持っており、自宅に持ち帰って診療録を記述・参照する事が可能である。音声認識装置を繋ぐ事もでき、キーボード入力が苦手な人は口述筆記も可能になっている。かな漢字変換が不要な英語ゆえ、認識精度はかなり高く実用的に利用できているようだ。(日本でも電子カルテ用の音声認識システムはあるが、英語に比べると同音異義語が多くかな漢字変換もあるので、入力効率が上がっていない。)

 待合室は豪華で広く、水槽が置かれているところもあり、大型テレビが設置され、XBox 360の KINECT を使ってエクササイズができるようになっている所もあった。 (完全予約制のため、アメリカのクリニックの待合室は患者さんの滞在時間があまり長くない。過去に見学したクリニックの待合室は比較的簡素だった。)

 各クリニックの玄関には、「FLU SHOTS」(インフルエンザ予防接種できます)と、大きく掲示されていた。

 民間医療機関という事で、顧客の獲得に非常に熱心であるというこ事を実感した。これまで見学してきた大学のクリニックや地方都市のクリニックでは限られたリソースを活用して診療を行っているイメージが強かった。しかし、大都市近郊のグループ開業クリニックの姿は、日本の都市部のクリニックと似ている部分が多くあると感じられた。

 

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